$ 0 0 故郷がなくなるというのがどんな気分になるものなのか、今、やっと少し分かった。 実家を離れて数十年。 そこに住む親がいた頃は、当たり前過ぎて、気にも留めてなかった事だったけど 間もなく売却され、いずれ全く違う家が建ち、見た事もない人がそこに住まう 自分のアイディンティティーというか、深層心理に刷り込まれた自分の経緯と、記憶の数々と共に、常にそこにあった実家が唐突に消え去ってしまう もう、その場所に行っても、立ち入る事すら叶わないのだ 止められない時間の流れと 変化する万物の定めに抗う事も出来ず 自分の中に受け入れざるを得ない無力さに どう向き合って行けばいいのか 未だ答えを出せずにいる自分がいる 前しか見ずに、走ってきたつもりだったのに 意外と過去に引きずられてたことに気付き すっかり片付いてしまった伽藍堂の部屋に、ただ、ただ、立ち尽くすのみだ